「雪崩だ」
「え、何て?!」
「これはまずいぞ...!」
音はだんだん大きくなってくる。間違いなく、この岩屋の入り口の真上から来ている。
「...嘘、この音雪崩なの?!」
「そうだ!」
「でも普通雪崩ってこんなに音しないんじゃ...!」
「この雪崩は普通じゃないんだよ!!!」
そう、トルフレアでは滅多に起きないが、オヅタルクニアではしょっちゅう起こるこの雪崩。尋常ではない轟音を響かせ、近くにいた小動物はあまりの音に気絶するという。人々はこれを、『ティルダの怒り』と呼んだ。
「いいから耳を塞げ!!!!」
「...何て???!!!!!聞こえない!!!!!」
轟音はますます近づいてきている。アーネストは素早くシェキナを抱き寄せると、左耳を自分の胸に押し当て、右耳を右手で塞いだ。同時に左手で自分の右耳を、肩で左耳を塞ぐ。
パッと、岩屋の中が暗くなった。雪が入り口を塞いだのだ。シェキナがキュッと身を縮める。アーネストはいっそう強くシェキナを抱きしめた。
暫くすると、塞いだ耳に聞こえていた微かな轟音もおさまり、入り口を塞いだ雪の向こう側の日が薄く見えるほどになった。アーネストはホッと胸を撫で下ろすと、シェキナを抱き締めていた腕を解き、入り口の方へ向かった。少し雪をかくと、光が一筋差し込んだ。
「うん、閉じ込められはしなかったみたいだ。良かったな、シェキナ.........シェキナ?」
振り向きながらアーネストがそういうと、シェキナは顔を真っ赤に染めてへたり込んでいた。心做しかアーネストを睨み付けているように見える。
「どうしたんだ、シェキナ。あっ、まさか息できてなかった?」
「......何でもない!」
むすっとした表情のまま、シェキナはすくっと立ち上がると、入り口の方へツカツカと歩き、入り口を塞いでいた雪を蹴飛ばした。と、雪がドサドサッと崩れ、乾いた雪が舞い上がる。当然のように咳き込むシェキナ。「なんなのよホント...」とブツブツ言いながら岩屋の外に出ていってしまった。
「あっ、おいちょっと待てよー!」
慌ててアーネストが追いかける。薄暗い岩屋に、燃え残った焚き火のあとだけが残された。
アーネスト積極的~
ロスメモで言う所のOTかな?笑
雪崩のことを「ティルダ(冬の女神)の怒り」
って…センスの塊じゃないっすか!
憧れる…
ヤジウマくん≫そうなんですね~。
ただの雪崩ではないのです。(意味深)
災害のことを神の怒りというのは色んな文化でよくある話でして。それに倣ったわけです。
OTにも困ったもんです。