「25日、行けるようになったよ! みんなに会えるのがとっても楽しみ♡」
「12月15日 15:57 既読済み」
最初に動いたのは、あの子か、と最初僕は思った。
彼女の性格を考えれば、決まったら真っ先に報告するだろう。
(…これで、みんなも動くのかな)
僕はスマホから目を上げた。今日は一段と寒いような気がする。
今、僕は、模試の会場から家へ帰っているところだ。正確には模試の会場の最寄駅に向かっているところ。
”彼女”のメッセージを見たせいで、昨日はちょっと勉強できなかった。
まさかとは思った。ちゃんと行くんだ…と。
こうなると、自分も行かなきゃと思ってしまう。
6人のうち、自分以外がライブへ行くことになると、ちょっと寂しい。置いて行かれたみたいで。
「でもな~」
行きたいって言っても、親が許可を出してくれるかが問題だった。
多分、駄目、と却下するだろう。受験生なんだから、来年でもいいでしょ、とか。
(来年でもいいけど…)
何となく、それは違うような気がした。今年のライブは今年のしかないし。
妥協はしたくないと思った。そんなことしてたまるかって…
そんなことを、模試の休み時間中にずっと考えていた。
そして出た回答は、
「絶対に行く」
そのためには、もちろん親を説得しなきゃいけない。
だから、少し怖いけど―今日帰ったら、親に言おうと思っている。
修羅場覚悟でいくつもり。きっと大丈夫、自分の志望校を親につきとおすことができたんだし、多分平気―
(ライブにも行くし、新幸田高校にも絶対合格する!)
そう心に決めた。
「あ、そうだ」
ふとスマホに目を戻した。決めたのなら、ここでみんなに言っておかないと。
そうして、僕はこう打ち込んだ。
「この後親に、ライブ行っていいか聞く。妥協するつもりはないから。絶対に行ってやるよ!!」
前回よりは短いですね~(笑)