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Advent 12/20

この回を書くのを、ずっと楽しみにしてました… てなわけで本編スタート↓

「頼むっ! 一生のお願いだから!」
「ダメって言ったらダメでしょう?」
「そこを何とか…!」
もう5分くらい、この言い合いは続いている。いや言い合いというよりは懇願かもな。
クリスマスフェスに行きたいって、おれが切り出したのは、夕食後。もういい加減言わなきゃなって前々から思ってたし。そもそも、前から言ってた話なんだけど。
前に言ったとき―確かあれは2週間ぐらい前のこと―は、母さんが「ダメ」の一点張りで、おれは負けてしまった。理由としては、受験生だから。まぁそれは分かってるんだけど。
でも、「久しぶりに集まらないか?」とあのメンバーに聞いた本人だから、絶対に行きたい。
だからこそ、ここしばらく、どうしたら母さんを折れさせることができるか考えてきた。それがこの戦法。
「本っ当にお願いします! 勉強頑張るから! 紅林(おれの第一志望の学校)絶対受かるからさ!」
「だーめーでーす」
こうやって、全力で懇願して押し通す。必殺ゴリ押し作戦。
「第一、会場まで遠いでしょう? 電車賃どうするのよ」
「そこは自腹で!」
「もう…いい加減あきらめなさいよ。参太には、私みたいになってほしくないのよ!」
「そんなの…!」
どちらも譲らない。そもそもどちらも譲るつもりはない。
どっちかが折れるまでこの戦いは続く。
「お願いします!行かせてください! どうか、どうか…!」
「もう…」
母さんがため息をつきかけたその時、意外な人物が口を開いた。
「…別に、いいんじゃないか?」
「え」
親子そろって停止。声の主は、存在感がほぼ消えていた父さんだった。
「参太が行きたいっていうのなら、別にいいんじゃないか?」
「ちょっとあなた…」
母さんがさっきとちょっと違うため息をついた。
「ほら、勉強も頑張るっていうしさ、十分気持ちも伝わってきたし…」
「あなた、それでもいいの⁉」
「まあ、いいんじゃないか?」
あれ、この展開は…
「…参太、もう…好きになさい」
「え…」
「そのかわり絶対紅林学園合格するのよ!さもないとタダじゃ置かないからねぇ」
「母さん…!」
なんだかんだで、ゴリ押し作戦大成功! ありがとう、父さん、母さん。



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