12/21に続けて書いていきます!
「なあ雪夜、ここどうなってんの?」
「あ~ここは~」
雪が降る街の片隅で、僕らはのんきに勉強会を開いていた。
たまたまそこらで会っただけなんだけど。
トウイチと北斗と僕とでは通ってる塾が違う。まあ住んでる場所が違うことが主な理由なんだけど。
…で、たまたまそれぞれの塾帰りにこのバス停で会って、トウイチがわからない理科の勉強を少し教えているだけ、という…
こんなクソ寒い中、しかも雪が降る中、トウイチがせっせと勉強しているのは、いろいろ彼は切羽詰まってるから。
意地でも第一志望に合格したいらしい。だから、彼らしくもなく、バスの待ち時間でも、勉強しているのだ。
それで僕らは勉強を教えたりしてるわけ。
「おお! サンキュー!」
「どうも」
トウイチの疑問は見事解決したようだ。
「なあトウイチ、なんで志望校、ああいうところに決めたんだ?」
ふと、北斗がトウイチに尋ねた。
「そもそも急に変えるとか、こっちとしては謎なんだけど」
「ああ」
トウイチが答える。
「最初はな、落ちたくないから、確実に受かるところにしたんだけど、」
トウイチはちょっと息継ぎをした。こっから先って、彼的には何となく言いづらいことなのかも。
「夢叶えたいな~って思って」
「おお~」
北斗は感嘆の声を上げた。
「かっこいい~ お前らしくないけど」
「おいおいおいおい、俺らしくないとかどういうことだぁ?」
二人の茶番が始まった。これを見られる機会は、あと何回あるんだろう?
僕はスマホをコートのポケットから引っ張り出した。
この前、フェスに行く許可が下りて、そのことを報告したとき、あのグループは大いに盛り上がった。
「おお~よかったな」
「やったー! 仲間だね!」
「私も行くこと確定。待ってろクリフェス!」
「頑張って親説得します。」
「がんば~」
こんな感じ。ちゃんと全員で集まれる、その可能性がちょっとでも高まるだけで、うれしかった。
「…あれぇゆっきー?」
「あ゛っ」
まさかのここで会いたくない人、文野霜菜登場。最近よく話してるからな…トウイチと北斗いる状態でこれってぇぇぇ…
「おっ、こ~れ~は~⁉」
あとの二人のこの盛り上がり様。僕はもはや新雪みたいに真っ白になったんだけど。