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No music No life #5 TOGENKYO

美月視点


時雨さんは言う。
「結月は多分、病気なんかじゃないんだよ。
あの日に戦わなかったら、結月はこんなことにはならなかったんだよ。」
どんどんその声は震えていく。
私はこう言った。
「ここから先は私が話します。」
「数年前のAIの暴走事件を知っていますか?」
玲さんはコクリと頷いた。そのまま私は続ける。
「あの事件で、特攻班は、処理に向かいました。
ですが、大半の班員は戦死し、残ったのは、
たった二人の班員でした。
それが——御影結月と中村時雨でした。
ですが、その片方は、人として、人間として生きる道を失ったのです。
たった1つの小さくて、薄っぺらい、機械のために。


その片方は、今の特攻班班長 御影結月だったというだけです。

つまり、結月姉は、病気なんかじゃなく、機械であり、人間である、存在なんです。

だから、あの人は自分一人で全てを抱えて、
余計なものまで全て背負って、生きているんです。

息をしているんです。」
私は、下を向いていたので、玲さんがどんな顔をしていたかはわからない。


【続く】

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