4

LOST MEMORIES ⅢCⅥⅩⅨ

歌名の呟きにひどく食いついたのは、やはり瑛瑠と英人。今にも質問攻めにしそうな雰囲気にたじろぐ歌名を見て、望は一旦宥める。
「瑛瑠さんまでまわりが見えなくなっちゃうと、ぼくの役回り増えるから困っちゃうよ。」
望の穏やかな苦笑に、瑛瑠は落ち着くよう努めた。望ももちろん話を掘り下げたいのだが、進行が話をぐじゃぐじゃにしてはいけない。
英人といえば、多少の苛立ちと焦燥が見える。深いところまで関わってしまったであろう英人は、幼少期、大人に上手く誤魔化されたと検討がつく。さらに、漁った書類は重要か部分が抜き取られているときた。上層部の裏の顔を垣間見て、何が自分の本当に見たものなのか、覚えていることなのかわからないと、以前そんなことをこぼしていた英人が、はやくその情報を知りたいと思うのは当然のことでもあって。
もちろん、その苛立ちや焦燥の相手がこの場にいる3人ではないことは理解していた。
「わ、私だって10年前のことだから、詳細まで覚えてないし、もしかしたら間違ってるかもしれないし……!」
軽い気持ちでこぼしてしまった言葉に大きな期待を寄せられていることを悟り、歌名は一気に縮こまる。
望が、瑛瑠の役割だと目で訴えるから。小さく頷いて、歌名を呼ぶ。
「なんでもいい。間違えていたっていい。確かめる時間ならたくさんあるから。今は、情報がほしいの。」
ね,と崩した口調で言うと、歌名は口を開いた。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。