「なあ兄よ」
「どうした弟よ」
「皮肉なもんだと思わないか。今日はクリスマスだってのに、街はもうお正月気分だぜ」
「昨日が一番のクライマックスだったな」
「前夜祭が当日よりメインってなんなんだよ」
「まあそういうな、弟よ。しかし考えても見ろ」
「なんだよ」
「そんなのクリスマスに始まったことじゃないだろ?」
「まあ、そうかもね」
「誕生日に買ってきたケーキなのに前日に食べちゃったり」
「うんうん...うん?」
「学校の創立記念日を今日だと思い込んで前日に休んだり」
「お、おいちょっと待てよ」
「父さんと母さんの結婚記念日を一日間違えたり」
「それ全部俺のことじゃねえか馬鹿兄貴ィ!!!」
「ああ、そうだったけか」
「てかよくもまあそんなに覚えてるもんだな」
「記憶力だけは良い方なんで」
「でもさ」
「うん?」
「やっぱりよく考えると、寂しいよな」
「そうだよなあ」
「そうだよ」
「うんうん.........平成もあと四ヶ月そこらで終わりだからな」
「そうそうそのとお...ってその話してねえッ!!!」
「みんな『平成最後』『平成最後』って騒いでるけど来年の五月まであるからな」
「良いんだよそんな話は」
「というわけでよいお年を」
「今年もまだあるよッ!!!」