いくら東京とはいえ、自分家の近所とはここはえらく違っていた。
とにかく人が多い。あと建物が多い。建物の規模も全然違う。
初めてクリスマスフェスに来た時、その何もかもに驚きっぱなしだった。
2回目だから、そこまで驚かないけれど、相変わらず人の多さには引いていた。
会場は混んでいるし、ついでに自分は道に迷いかけてるし…
せっかく手に入れたマップもなくしてしまって、もはや八方塞がり。
途方に暮れながらも、どうにか集合場所へ向かおうとあがいていると、
「…」
ふと視界に、見覚えのある人影がうつった。人影はすぐにどこかへ走り出そうとしたから、誰かまでは分からなかったけれど、そのときにぽとり、と帽子を落としていった。
「…これ」
手に取った帽子は、明らかに見覚えがあるものだった。でも、どこで…
「!!」
思い出した。これ、去年も拾ったんだよ。目の前で落としていったから。
そう、その持ち主は―
「あの」
考えるより前に、体が動いていた。
振り向いたその人は、僕を見て目を丸くしている。
「これ…!」
「あ!」
あちら側は興奮して叫んでいた。
「あのときの、あのときの…!」
「そうそうそうそうそう!」
「あ、でも待って、名前は…」
「え嘘、忘れた⁈」
想定外の事態。相手側が名前をド忘れしてるなんて、ちょっとひどい。あの6人の一人なのに⁈
「…名前は、」
「雪夜。」
よかった、思い出してくれたみたい。にしても、よく忘れてたな…
「早く行こっ!」
「もちろん!」
ラスト、書き込む側も大興奮です…(なんなんだ自分)