「…あ、来た来た!!」
「えマジ⁈」
「来なかったら困るでしょ」
なかなか来なかった人物が、やっと姿を現して、みんな騒ぎ出した。
「おーい!」
遅れた本人は、笑いながらこっちへ走ってくる。人混みでうまく進めてないけど。
「遅いぞ参太」
「ほんとゴメン。やっぱりこの人混みキツイよ…」
遅れた本人、参太はちょっと息切れしている。多分慌てていたのだろう。
「あ~、わかる。これはキツすぎるよね」
「東京の通勤ラッシュはこれ以上もあるぞ~」
「うわ! じゃイチゴ東京に生まれなくって良かった!」
「あれだったら雪夜にでも守ってもらえばいいじゃん」
「ええええええ! そういうこと言わないでくださいよ鈴!」
「ごめんごめん~ だって一緒にここ来たし」
「…」
全員がそろって安心したのか、雑談が始まった。
「移動時間どれくらいかかった?」
「2時間とか…」
「私30分~」
「いいなぁリイ、こんなに近くって」
「逆に長いほうがよくない?」
「おいおい、コウあんた開き直ったのか~」
「あ、でも移動時間長くても短くても、楽しめるっちゃ楽しめるか」
「そっちが開き直んのか」
あきれる参太、笑うリイ、何も言えないコウ。
「あ、そーだ。クリスマスプレゼント持ってきたんだけど」
「え見せて!」
「ほら、ちゃんと全員分作ったんだよ~」
「えカワイイ!」
かわいいモノに飛びつく女性陣。対して男性陣は
「…女子だね」
「当たり前だけど?」
「あ、わかった。うらやましいんだろ~」
「そんなわけないし!」
「あ、男子分もあるよ~」
「おう、サンキュー!」
男性陣は男性陣でプレゼントを受け取った。中身は手作りのストラップ。イチゴが勉強の合間を縫って作ったもの。
「ふーん、よくできてる」
「そのリアクションつまんな!」
「別によくね⁉」
「まーいいから、いいから」
よくわからないツッコミの応酬を続ける2人を、リイはなだめた。
「あ、写真撮ろうよ!」
「いいね!」
「去年も同じこと言ってたぞイチゴ」
「え~別にいいじゃん」
「とにかく撮ろっ、ライブ始まっちゃうし」
「でもどうする? 誰かに撮ってもらうのか?」
「あー…自撮りで!」
「じゃ、あたしがやるよ。一番腕長いのあたしだし」
「何その自慢~」