なんて言ったらいいかわからなかった 言うことなんて、言いたいことなんて ひとつもなかった気もするし そう言いながら ペンをくるりと左手で回す 「それでなんて言ったんだい?」 ああ、それで結局なにを言うでもなく 笑って誤魔化したよ 「今みたいにかい?」 うん 嘘だった 嘘を吐いた 答えとしてはちょっと ズレたものを提出した 笑って誤魔化しはしたが、それは何も言えなかったからではなくやおいの会話のなし崩し的な終着点だ。仕方がない 「きみがわるいね」