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LOST MEMORIES ⅢCⅦⅩⅡ

望は今まで聞き手に転じて、ずっと考えを組み立てていたのかもしれないと思いながら、目の前の彼を見つめる。
「みんなスルーしちゃってたから覚えていないかもしれないけれど、エルーナは、彼の父が“扉が開いた”って言っていたと話していた。……瑛瑠さん、そうだよね?」
急に振られた瑛瑠は急いでノートをめくる。たしかに、そういう記述がある。覚えているかと言われればノーだ。1週間前の自分に問いかけたい悔しさがあった。
「そうです。」
「それって、ぼくたちも通ってきたあの扉のことじゃないかな。」
押し黙る。望の言おうとしていることを、知りたいような知りたくないような気持ちで、次の言葉を待つ。
「神殿には、いくつかある扉のうちのひとつがある。それも、僕が思うに、規模の大きいものが。それが開き、人間界に繋がった。そう考えるのが自然だと思うのだけれど。」
「つまり、どういうこと?」
歌名は恐る恐る尋ねる。
「つまり、」

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