そこにあった 確かにあったんだ お前があんなことするから 驚いて逃げてしまったじゃないか 僕が伸ばした腕は 虚しく弧を描いて しばらくしてダラリと垂れ下がる そして気づくのだ もうあれは帰ってこないのだと 二度とこの手に握ることはないのだと そしてこの部屋に 不敵な笑みを浮かべながら 僕を迎え入れる孤独と 二人暮らしの毎日