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LOST MEMORIES ⅢCⅦⅩⅧ

パスタとビーフシチューを見て、男子ふたりが軽く顔をひきつらせるのを瑛瑠は見た。
「甘いものって言ったの、誰だっけ……?」
「夕食の時間なんてすぐだぞ。」
おやつの時間というには遅く、どちらかというと夕食に近いこの時間帯。だからこそ、甘い(軽い)ものにしようということなのだが。
「お腹がすいてしまいました。」
空腹には勝てなかった。
「夜ご飯もちゃんと食べるよ。」
瑛瑠が注文したのはプッタネスカ。トマトソースの酸味に唐辛子の辛味、アンチョビやオリーブの塩味が利いている刺激的なパスタである。
歌名が注文したのはビーフシチュー。しかしただのビーフシチューではなく、色鮮やかな蒸し野菜が眩しいそれは、いっそ野菜シチューといっても良いもので。
瑛瑠は美味しさに顔をほころばせていたが、ひとりでまわしているわりに随分とはやく提供されたことに疑問を感じるのだった。

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