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LOST MEMORIES ⅢCⅦⅩⅨ

「花さん。」
小さく手招きした瑛瑠を見て、歌名は寄ってくる。もちろん落ち着いたのを見て、だ。
「今日、時間のかかりそうなものばかり頼んだのに、かなりはやく出てきて……。」
瑛瑠の言いたいことを汲み取った花は、にっこりと微笑み、
「今日は奥に夫がいるから。」
手伝ってもらっているということなのだろう。あの腕時計の送り主である彼に1度会ってみたいと、そう瑛瑠は思う。
しかし、そうではなくて。
わざわざ花を呼び寄せたのは、もちろんその事もあったのだけれど、確かめたいのは前回英人とも話題になったことで。
「歌名、望さん。今の店員さん、花さんとおっしゃる方なのですが、どこかで会ったとか、誰かに似ているとかありませんか?」
すると答えたのは望。
「あの人、鏑木先生の娘さんだよ。」

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