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LOST MEMORIES ⅢCⅧⅩⅡ

歌名を男子ふたりがかりで言いくるめ、予定通り2つに分かれて瑛瑠は送られていた。
「ぼくでもよかった?」
そう人好く聞いてくるのは望。笑ったその顔に、もちろんですと瑛瑠も微笑み返した。
この組み合わせになったのは、純粋に方向が一緒だということ。
「ぼくとしては役得だけどね。」
暗くなってしまった道には、灯りがともり始めていた。
悪戯っぽく言う望に、瑛瑠は笑って応える。
「それはこちらの台詞ですよ。みんなの大好きな委員長を独り占めできるんですから。」
祝瑛瑠に他意はない。悪気もない。
しかしそのせいで、望は顔に苦笑いの文字が浮かび上がるくらいお手本のような苦笑いを貼り付けるはめになる。
ぎこちない微笑みを向けた望は、
「……霧はよく耐えられるね。」
「なんのことですか?」
こっちの話だよと告げ、再び悪戯っぽく目を光らせた。
「ぼくのこと大好きなみんなの中に、瑛瑠さんはいるの?」

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