0

捨てられた人形

緑眼の西洋人形が奏でるは、
酷く悲しい独奏(ソロ)

観客も指揮者もいない
エメラルドのやう(よう)だった眼は酷く濁ってしまっている。

西洋のお姫様のドレスも
酷く汚れてしまった。


人形は知っている。

もう誰も自分を必要としていないことに。

もう誰も自分を見てくれないことも。

人形は知っていてもなお、健気に笑みを浮かべ続ける。

そんな彼女のブロンドの長髪は
日光に照らされ艶々と輝き続けている。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。