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檸檬の蜂蜜漬け

きらめく瓶のなか
時間がとろりとろりと溶けてゆく
原形を留められなくなった秒針の雫は落ちて
刹那の歪を作っては呑み込まれていった

動かない短針はいつまでもきっと午後三時

新陳代謝を繰り返して君は
全く知らないお人形になってしまった
同じ時間を隔てて僕も



知らない君とすれ違う

僕は君を知らない
君は僕を知らない

小瓶のなかでゆっくりと微睡みながら
甘い甘い毒を吸い込んだ
甘ったるい中枢
幸福も不幸も奪われてしまった

嗚呼どこかに落ちてゆく
奈落の底に着地するのかな
このまま溶けて消えるのかな
他人事みたいに微睡みを食べ尽くす

秒針を完全に失った時間は
きっといつまでも午後三時

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