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LOST MEMORIES ⅢCⅨⅩⅥ

自分の記憶が一部抜け落ちていることは感じていたし、これまで話もしたけれど、いざ断言されてしまうと、受け入れ難い事実のように感じるのはなぜだろう。
「ジュリア。」
低い声でそう言ったのはチャールズ。これまでお説教はされてきたが、こんなチャールズを見るのは初めてだった。そんなチャールズに、英人も少し目を丸くする。
「私が、そう指示を出したんです。」
正直、瑛瑠はここでチャールズに突っ込みを入れたかったが、場の空気がそうさせない。
チャールズの声は冷えきっている。しかし、怖じ気づくジュリアでもなくて。
「あのときのジュリアにもっと力があれば、」
「みんな、あのときのベストを尽くしました。」
「誰も傷つけないですんだ。」
「お嬢さまは生きています。」
「でも、」
ジュリアの、でも,という言葉に重ねるようにしてチャールズは身を乗り出し、テーブルの端に用意されているフォークをジュリアへの突きつけた。
「ジュリアのせいにするな。」

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