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LOST MEMORIES ⅢCⅨⅩⅧ

自分がはっきり言わねば、チャールズもジュリアも、また口論になりかねない。
そう思った瑛瑠は、ジュリアの名を呼ぶ。
「ジュリアさん。たしかに私はある期間の記憶がないようですが、それをあなたが原因だなんて思っていません。……なぜそんなことを言うんですか?」
チャールズが何かを言いそうな気配がしたため、軽く横を睨んでやる。
――私は、ジュリアさんと話しているの。
圧をかけたつもりはなかったが、ジュリアは顔をひきつらせていて、口を開こうとしない。
「ジュリア、僕はジュリアを擁護するとかじゃないが、瑛瑠は本当に誰のせいだとか思ってない。ジュリアが籠ったあの日、何か悪いことしたかと気に病んでいたくらいの性格だ。」
ふぅと息を吐いて、横から同じ黒い瞳をのぞきこむ英人。
「感情はいらない。事実だけが真実だ。ジュリアがいつも言ってることだろ。」
このやりとりに、英人の性格や生き方、とりまく環境が垣間見えた気がした。

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