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LOST MEMORIES ⅢCⅨⅩⅨ

英人の押しのおかげで、ジュリアは口を開いたものの、やはり改めて聞いても、自分の失われた記憶をジュリアが原因だとは瑛瑠は思えなかった。
「キミは、投げ飛ばされたその衝撃で、記憶喪失になったんだよ?」
だからジュリアせいで記憶喪失になった――その考えは好きじゃないなと瑛瑠は思う。
「英人さんとも話していたのですが、たぶん、防衛本能が働いたと思うんです。消してしまいたいくらい恐い想い、悲しい、寂しい、辛い想いがいっぱいになって、それが溢れたタイミングが投げ飛ばされた時と重なっただけで。仮に、引き金がそれだったとして、それはたまたまだったと思うんです。」
押し止めていた想いが決壊した瞬間がそこだっただけで、それ以前に溢れるだけ溜まっていた想いの量の方が問題だと瑛瑠は思うのだけれど。
「つまるところ、お嬢さまは別に怒っても恨んでもいませんよ。」
やっと口を開くことを許されたチャールズの言葉に、瑛瑠は頷く。
「はい!助けられました。」
微笑むと、ジュリアは少し顔を赤らめた。

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