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LOST MEMORIES 403

「まぁいいですけど。」
拗ねた振りをする瑛瑠に、英人は苦笑して尋ねる。
「で、本当に聞きたかったことは?」
その言葉に、思い出したように瑛瑠は目を伏せる。
「私、望さんとの距離感がまだ掴めていないんです。こんな風に冗談を言ったりしたいのですが、どうしても……」
「好きだと言われたことがちらつくのか。」
伏し目がちな瑛瑠の続かなかった言葉を英人が紡ぎ出す。
どうして知っているのだろう。
ちょっと目を丸くした瑛瑠は、英人に問う。
「ふたりで出掛けてもいいものでしょうか……。」
英人にはないこの抵抗が、一体何からくるものなのかわからず、ただただ変化を恐れていることは確かで。
それでも、約束をうやむやにはしたくないと、そう思うのは無責任な欲張りなのだろうか。
ふっと降りた沈黙はあたたかい。

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