さすがと言っていいのか、圭一さんに叱られた妹は、しかし叱られる前の落ち着きを取り戻していた。圭一さんの叱り方と慰め方がうまかったのか、それとも妹の気持ちが強いのか。むしろ叱られたあとの方が気持ちがすっきりしたみたいで、妹は圭一さんとよく話すようになった。私はそんな会話中に時折飛んでくる話の飛び火を適切にいなしながら、窓の外を眺めていた。
そろそろ高速道路を抜け、一般道に入る。インターチェンジが見えてきた。
車での移動は、圭一さんの友人宅に車を止めることでピリオドを打った。高速道路から降りて一般道を少し進んだところに、その目的地はあった。圭一さんが事前にお願いしたところ、その友人は快く車を駐車させることを許してくれたらしい。圭一さんには本当に頭が上がらない。お礼を言おうと思ったら、それはこの旅が完遂してからにしてねときれいなウィンクまで頂いた。どこまで爽やかなんだ、この人。
友人宅から数十分歩いて、電車を利用する。時刻は昼過ぎである。途中でスーパーに寄って昼食と、ついでに夕食も買った。氷枯村にもコンビニはあるらしいのだが、最終目的地とは距離が開いているためタイムロスしたくないとのこと。山あいの”ちょっとの距離”は、その実”道のりが長い”に他ならないので、そこの部分は全面的に同意する。
昼食にはまたおにぎりとお茶を選んだ。