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そういえば

居場所なんてなくいい。小さな興奮は、加湿器の蒸気のようで、暖房が低く唸るこの部屋には、もうコーヒーの匂いが染み付いて逃げられない。

夜だ!

僕はコーヒーカップを小さく叩いた。雑然とした机は、それでもなんともないように僕の所作を邪魔する。捨て損ねたペットボトルは銅像じゃないんだから、早くどいてよな、そこをね。窓を叩く音がする。それが雨だと気づくまで、そんなに時間はかからなかった。逃げられない。でもいいんだ。居場所なんてなくていい。ただここにいれば。

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