あちこちでの怒声
鳴りひびく銃声
ひとの最後のうめき声
「へいわなんてしらないよ。ぼくはがっこうにいったことがないからね。じもよめないしかけないんだ。」
虚ろで、けれどどこか穏やかにも見える目をした少年が言う。
「ぼくがうまれたときからここではせんそうをしているよ。そしてぼくはうまれたときからここにいる。たぶんしぬまでもずっとここにいるだろうね。ほかにいくところなんてないんだから。」
そして少年は歩いて行く。町にあふれる騒音をものともせず、死んでいくひとびとの群れをかき分けながら。今日食べるものを探すために。