目が悪くなった。 それは少し先の君の顔さえも見えないほどで、 けれど僕は眼鏡もコンタクトもしなかった。 したら目が悪くなったことを認めてしまうようで嫌だったのだ。 君の顔が見えないそのまま、僕は生活していた。 突然、君は逝ってしまった。 僕にさよならも言わないで。 僕はとうとう君の最新の顔を見れないままだった。 僕は目が悪い。 近くのひとの顔もぼやけて見えない。 眼鏡やコンタクトはしない。 顔を知らないほうが、そのひとがいなくなったとき、悲しくないと思うから。