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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ①

寿々谷市には、正直言って学生が遊べるようなところは非常に少ない。
遊べるところといったら―例えば寿々谷駅近くのショッピングモール。
寿々谷駅から徒歩5分のところにあるショッピングモールには、週末になると多くの学生が集まる。
わたしだってその1人だ―だが残念ながら、一緒に行けるような友達はいない。
中1の最初のうちは、少ないながらも友達はいたのだ。―だが、いつの間にか、わたしは1人になっていた。
中2になってもその現状は変わらない。自分なりに努力してるはずなのに。
どうにか周りの人となじもうとするけれど、上手くいかない。
おかげさまで、学校は楽しいと感じないし、部活も完全にサボっている。
誰からも相手にされないから、誰も自分のことを必要としていない。むしろいなくても変わらない。自分の存在意義はないと信じるようになっていた。
でも、そんな自分にも、わずかな楽しみというか―習慣がある。
それは毎週末、ショッピングモールにある本屋に通うこと。
別に商店街の本屋でも良いのだが―ショッピングモールの本屋のほうが大きく、品揃えも豊富だから、よく通っている。
本を買うことは少ないけれど、気になった本を立ち読みしたり、ただただ棚を眺めたりしているのが結構楽しい。
今日は珍しく気に入った本があったから、レジで精算を済ませたところだ。
店員から袋を受け取って、本屋を出て、ショッピングモールの出口に向かおうとした時、わたしはふと足を止めた。

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