家に帰ると
コンロの火が点いていた
ご丁寧に換気扇まで回して
カタカタとJRの地方線
カチリ、と火を消すと
ガス臭さが鼻を突いた
思わずこぼれた涙が
なぜだか止まらなくなった
誰もいない四畳半ワンルーム
万年床に倒れ込んだ
駅から徒歩五分の
三年余りの付き合い
君が出ていってから
三週間が過ぎた
相変わらずコンビニ弁当と
持ち帰りのピザの毎日
ガスなんてとうに止まったと思っていた
君の想いと一緒に
そう言って鼻で笑った
すするとやっぱりガスの匂いがした
名残惜しそうに
部屋の中に漂って
次第に換気扇を抜けて
JRに揺られてどこかへ