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我が家の風呂場は壁に鏡が貼り付けられている。ある日私が頭を洗って、髪を流したとき、ふと鏡を見ると、鏡の中の私がニタニタ笑ってこっちを見ていた。
『やあ君、突然悪いけど、私と入れ替わる気は無いか?』
その時は寝ぼけてでもいたのか、何故かこのおかしな状況にもすんなり対応出来た。
「もし入れ替わったらどうなります?」
『敬語なんて止めてくれよ。同一人物だろ?』
「そんな気がしないですね」
『まあ特に変化は無いさ。そっちの記憶はこっちにも来るし』
「それ意味あります?」
『自分が主体となって行動することに意味があるんじゃないか』
「で、入れ替わったらやっぱり性格も逆になったりします?」
『そんなのあるわけ無いじゃん。ファンタジーじゃないんだから』
「思いっきりファンタジーの存在が何言ってるんだ」
『もし性格が反転したとして、例えば君には優しい面もあるし乱暴な面もある。柔軟かと思えば変に頑固にもなる。何も変わりゃしないよ』
「それもそうか。けど私はもうしばらくこっちにいたいんだ。今やってるゲームがもう少しでクリアできるからね。こればっかりは自力でやり切らないとつまらない」
『そう。少し残念だが、君が嫌だと言うなら無理強いは出来ない。気が向いたら言ってくれ』
「ところで、私と随分口調が違ったけど」
『……ごめんなさい結構無茶してあの喋り方してました』

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