「ちょっとそこのおにーさん」
「何だお前。娼婦か何かか?」
「な訳無いでしょう。ただの世界に絶望したちっぽけな少女ですよ」
「ほう。で、そのちっぽけな少女が何の用だ?」
「世界に絶望した私ですが、そんな私でも『愛』ってものを知れば、まだ生きる気力がわいてくるんじゃないかな、なんて思ったりしたわけで」
「それで、僕に何をしろと?」
「はい、私に貴方の愛をほんの少し分けてください」
「無理だ。僕は物質至上主義の人間なんでね。そんな不確実な概念をどうこう、みたいなのは他所でやってくれ」
「まあまあそう言わず。もしも愛が与えたり貰ったりできるものなら、物質的な愛もあるかもしれないでしょう?一緒に探してください」
「『物質的な愛』か。なかなか面白いことを言うな。…ふむ。ではその発言に免じて少しくらいは付き合ってやろう」
「うわーいありがとうございます!」
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「で、あれからもうひと月ほど経つが、愛は見つかったか?」
「さあ…。よくそんなに私に付き合ってくれましたね」
「それもそうだな。もう2週間早く諦めてた方が良かったんじゃないかと思わないことも無いが、せっかくだから最後まで付き合ってやろう」
「貴方、良い人ですね」
「止めてくれ。そいつぁあ買い被り過ぎってもんだ」
「もしかしたら愛ってものが見つかったかもしれません」
「ほう、唐突だな」
「ええ、大分唐突だと自分でも思います」
「何も無かったよな?」
「そうですねぇ。ところで神学的には、愛というものは4つに分類されるとか」
「へえ」
「神の絶対愛、隣人愛、友愛、恋愛の4つだそうです」
「それで?」
「まあ、そういうことです」
参加ありがとうございます!
対話形式のものは少なかったので嬉しいです。
最後。どういう事だったのか、考えてます。
考えごとが増えて嬉しいです。
物質的な愛と言うのもぐっとくる台詞でした。
またよろしくお願いします!