桜蕾がしずくのように腫れてきて ぱっと咲きたる薄紅 滴り落ちた花びらは ひとひらづつは小なれど 潮の流れを作りつつ 薫風纏う大群は 小寄り集まり大と成る 鰯の大群と見つけたり 滴り落ちた春鰯 寄せては散ってを繰り返し 千本の道を気ままに抜ける ここに春こい 希うきみ 春の気候は冬にもあるが はるけきものを春と呼ぶべし