やがて憤懣の中においても私は声を上げなくなりました。
正誤の話しです。私は誤っています。
しかし相手方も、悪いとは思いませんか。
私のまだ定まっていない部分を突くのです。
プリンをフォークで突き刺すようなものです。
追い打ちをかけるように次々と決断を迫るのです。
そんな簡単なことすらできない私は、次第にうんざりとしてきました。
私は、誤っています。何も言わないのだから。
負けです。その時々において何を言えばいいのか分からなかった、私の。
私の中に渦巻いていた真っ黒い複雑、
そして相手と私との間に起こったわずかでありながら決定的なずれが、
私の黒い過去を象徴してやまないのです。
彼らと離れた現在でも私はそれに囚われています。
一生つき纏うでしょう。
しかしこれは、半ば仕方のないこと。
私が一軒隣の家にでも生まれていればこうではなかった。
とにもかくにも、私は自分を守るために硬直という方法をとった、
というだけのことです。
これがどんなに苦しい結末を呼んだのか、
いやそればかりが原因ではないのですが
それでもそのことが私に何か一般とは違う決定的な価値観を埋め込んだことは確かです。
苦しんでいる、というよりはそう停滞と錯覚させられている現状において、
彼らはまたこう嘯くのです。
私が間違っている、と。
そのとき私はどう思うのか。
現在の私をおざなりにしてしまうのがとても怖い。
私は確かに進んでいるはずなのに
過去と私の性格ゆえに、精神面において全くの前進を許してくれない。
おかげで私は外皮に厚く、内面において不安定な流動的物質という二面性を兼ね備えるまでに至ったのです。
彼らに。
私は彼らに立ち向かうことができるのか。
それはつまり、ただ一つの言葉を抽出し出力できるのか。
私の価値観を捨て去ることができるのか、ということにかかっていると思います。
要は面と向かって「馬鹿だ」と言えればオールクリアなのですが。
あいにくと現在、会う予定は立っておりません。
会わなければ会わないに越したことはありません。