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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ㉒

「あぁ…まぁそうだよ。そうじゃなかったら追っ払ってる」
「俺もそんなだな。最初は耀平のノリに乗ってただけだけど」
「ボクは興味なかったよ? ただこれ以上関わり過ぎたら嫌な予感しかしないから、とにかく嫌だったけど」
今日一日、ネロの表情が終始不機嫌そうだった理由が分かってしまったような気がした。
少しの間、彼らはわたしを見つめていたが、耀平が「行こう」と言ったことで、また歩き始めた。
このままじゃ、彼らがわたしから離れていく―そう感じて、わたしは思わず叫んだ。
「わたしは、わたしは、ただみんなと仲良くしたいんです! だから興味だけで付き合ってるとしても―」
「―馬鹿なの?」
不意に、彼らは立ち止まった。
「…え?」
「…異能力者っていうのは、本来常人は絶対知らないものだ。その存在が知られないからこそ、今の”平穏”は保たれてんだ…」
耀平が、静かに振り向いた。その目は黄金色に光っている。
「…お前、異能力のことをすごいとか言ってたけど、アレはおれ達の”平穏”を崩すかもしれねぇんだ…―”異能力”にまつわる物事に、常人は下手に関わっちゃいけない…絶対にな」
いつの間にか、他の3人もこちらを向いていた。―彼らの目もまた、光っている。
イエローゴールド、ブルーグレー、ダークグリーン、そしてレッドパープルの光が、無言で強く訴えてくる。
―常人は、異能力に関わってはいけないと。
わたしは、金縛りにあったように動けなかった。
夕暮れの、薄暗い路地裏には、ただただ近くの大通りを走る車の音だけが、響いていた。

〈2.コマイヌ おわり〉

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