「いや~珍しいね~、常人なのに異能力のこと知ってるなんて~」
近代的な寿々谷駅の入り口近くの柱の陰で、その不思議な女の人は笑った。
「そうですか…」
「アタシだって、今までの記憶を漁っても、そんな人間に遭ったことないよ~ま、アタシが知らないだけで、わずかながらにいるかもしれないけど」
その人は苦笑する。意外なことに、異能力者であることがバレても驚いている様子はなかった。
「ねぇキミ、アタシが異能力者だって見抜いたってことはさ、異能力のこと結構知ってるってことだよね? 知り合いとかにいるの? 異能力者」
その女の人は、面白いものでも見るかのように、わたしの目を覗き込んでいた。
わたしは、自分が興味を持った人に、逆に強く興味を持たれてしまって、ちょっと彼女に気圧されていた。
「あー…まぁ、知り合いにいますね、異能力者」
わたしの言葉を聞くや否や、その人は目を輝かせた。
「マジで⁈ すごい! 異能力のこと常人にカミングアウトする人っているんだ! すっごい度胸の持ち主じゃんその人!」
「あ、いや、教えてくれたっていうか、バレちゃったってやつなんです、わたしのせいで…」
何か勘違いされたような気がして、わたしは慌てて付け加えた。
「あーバレちゃったってヤツかぁ…それは、しょうがないね」
その人はふふっと笑った。