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LOST MEMORIES 429

 ただ、混乱してしまっているのも、確かである。
望は好きだと言ったではないか。今は答えなくてもいいとは言っていたけれど、それは答えが欲しいとも言っているわけで。
「つかぬことをお聞きしますが、望さんは好きな人とこうなりたいという理想像はお持ちなのですか?」
 瑛瑠ではなくあえて好きな人としたため、理想像があるのかではなく理想像はあるのかと尋ねる。
 こう聞いたのも、望は未来を見ていない気がしたから。
 案の定、彼はくすっと笑って、
「今のところ、何も考えていないよ。」
 そう言う。
「……私がもしもお付き合いを承諾したら?」
「それはもちろんお付き合いしたいけどね。」
 思考が追い付かず閉口してしまった瑛瑠に、望は微笑む。
「ぼくは、今自分が幸せなら、それでいいんだよ。」

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