彼女はうつむきがちに苦笑した。
「”周りに影響を与える”系の能力は下手すると周りに滅茶苦茶な影響を与えちゃうから… いつの時代も、そのせいで自滅する異能力者がいるんだけど…ま、それを防ぐために”記憶の継承”が起こるんだろうね」
”過去に同じ能力を持っていた人間の記憶を引き継ぐ”―異能力者たち共通の特徴が存在する理由が、分かったような気がした。
「…やっぱり、すごいですね、異能力者は…」
「そぉ? アタシにとっては当たり前のことだから、何とも思わないんだけどね~」
セレンさんは宙を見上げながら呟く。その目にはきっと、わたしとは違う風に世界が見えているのだろう。
「…わたしも、異能力者の”当たり前”理解できたらなぁ…」
「なんで?」
セレンさんが、わたしのほうを見て首を傾げる。
「いや、もし分かってあげられたら、仲良くなれただろうな~って」
「…もしや、”異能力”を知るキッカケになった子?」
「あ、まぁ”子”っていうか…”人達”なんですけど…」
言いながらわたしは、ちょっと恥ずかしくなって下を向いた。
「仲良くできないってヤツ?」
「…そう、です」
ドンピシャすぎて、顔を上げる気にならなかった。