「悪友、ねぇ…」
私は彼の言葉を反芻する。
「確かに、よくヒドイ言葉をぶつけあったり、互いにイタズラを仕掛けたり…そういう意味では、”悪友”はピッタリね」
「そうだろう?」
鮮やかなコバルトブルーのウィンドブレーカーを羽織っている彼は、そう言って歩き出した。
「…そうだ、面白い話教えてよ」
私は、彼の後ろに付いて行きながら言う。
「お前はお前で面白い話とかがあればしてやってもいいが」
「それがあいにくないのよ」
「フン、じゃ無理だな。俺のモットーは等価交換なんで」
そう言って彼は後ろを向くと、にやりと笑った。
彼は知り合いが非常に多く、常にたくさんの、色々な人の話を持っている。だからよく、情報屋みたいなことをしているのだ。
「…代わりにジュース1本ぐらいはおごってやるわ」
「そんなんじゃ俺は乗らないぜ」
彼はそう吐き捨てた。でも私はここで引きはしない。
「じゃあどっかの誰かさんと、ココアシガレットとサワーシガレットのどっちが素晴らしいかで小競り合ったとか言う話を言いふらされてもいいの?」
「うぐっ…」
彼の余裕そうな顔がゆがんだ。私は得意げに続ける。
「どうする?」
彼は数秒考えこんだが、すぐに口を開いた。
「しゃーねぇ、ジュース1本プラス俺のオヤツ代おごれ」
「OK、でもおやつは500円以内まで」
厳しいなぁ、てかアニメの中の小学校の遠足かよ、と彼は苦笑いする。
「…で、何の話がいい?」
「別に何でもいいわ。とにかく聞かせて頂戴」
私は、よき悪友に駆け寄った。
あ、タグミスった(笑) 「1.の視点違い」というより、「1.の続きだけど視点が違う」が正しいや。