悪魔「よぉ兵隊サンヨォ」
兵士「何だテメェ。悪いが俺は兵隊じゃねえ。単数形だからな」
悪魔「お生憎様。お前は単数形じゃあねェ。品詞じゃあねえからな」
兵士「言うねえ」
悪魔「お前こそ」
兵士「何の用だ?つーかお前誰だ?」
悪魔「俺が誰かなんてこたァ大した問題じゃあねえ。…実はお前に聞きたいことがあってな」
兵士「何だよ?」
悪魔「何でお前はこんな不毛な戦いを続けてるワケ?どうせお前の代わりなんて幾らだっている。親も死んだお前に、泣いてくれる奴なんざいねえだろ?」
兵士「うーむ、これは実に突き刺さる。………何故戦うか、か……。生きるため、かな。生きるには金がいるんだ」
悪魔「分っかんねェなァ。金なんざ無くたッて、生きていくことは不可能じゃあねえぞ?」
兵士「違うね。お前が言ってるのは、『生き延びる』ってことだ。最低限死なないってことでしかない。俺は『生きて』いたいんだよ」
悪魔「ふむ、なるほど分からん。が、まあだいたい察したゼ。ソイツを聞いて悪魔の俺も少しだけお前を応援したくナッタゼ」
兵士「分かんねえのか。ってかお前悪魔かよ!」
悪魔「オウ。まア知りたいことは知れたし、もう帰るわ。じゃ、お前に幸あれ!」
兵士「悪魔が『幸あれ』って……」