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平成は変わらない

駅のホームにはデカデカと「平成」と書かれ、今を追い求める人々が電車が来るのを浮き足立って待っている。平成の駅で令和の判が押された饅頭を売りさばく人たち。そんなに焦らなくてもいつのまにか時はすぎるのに。
私はそんな人々を眺めるのにも飽きて、ベンチに腰掛けながら小説を開く。昭和に生まれ、平成にベストセラーを売り出した小説家。令和へ行こうという時に大正の物語を読んでいる。きっと令和の時代か、その後の時代に現代文の教科書に載り、生徒たちの頭を悩ませることになるのであろう作者と題名。

そう。
結局、そんなものだ。

平成という題名のついた時代の中で、主だった出来事の名前だけを覚えて、解答用紙に書き込むような、そんなもの。
令和に降り立ったからと言って、何が解決するわけでもない。結局は日常の続き。ずっと先まで行けば振り返ることすらなく、その時代の有名人たちが縫いとめられる場所。
それがここ、平成だ。そして次の令和もいずれはそうなる。
もうここには二度と帰ってこれない。だから、この場所とはお別れするわけだけれど。
私は立ち上がり、コインロッカーの中の荷物を取り出して、超満員の電車に乗る。

死んだら、また会おう。

誰もいなくなったホームにそう呟く。

  • ゲリラお題
  • 平成→令和
  • 最終的にまとまりがなくなった
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