「いやもう何年もこうだから… 家にいるのも嫌だし。あ、耀平たちに出会ったのは2年ぐらい前だからね? こうやって集まるようになったのはホント最近」
「はぁ…」
ほんの短い間、わたしと異能力者たちとの間にゆるい沈黙が流れた。
…と、不意に、ネロが何かに気付いたように口を開いた。
「…アンタ、意外とボクのことこれ以上聞かないんだね」
「?」
わたしは何のことか一瞬分からなくて、ちょっとぽかんとしてしまった。
「いやアンタ、先週会った時は”異能力”についてガンガン聞いてきたのに、今回は…」
ここまで聞いて、わたしはネロが何を言いたいのかやっと分かった。
「あー…あれ…内容的には聞こうとは思わないよ…」
さすがにああいう不登校とかの、暗そうな話は、ね…とわたしは苦笑いした。
「そりゃな。アイツの話、絶対時間かかること目に見えてるし」
「そーいやこないだは、こっちがちょっと嫌な顔しても”異能力”のことメッチャ聞いてきたもんな…」
耀平や師郎は、わたしに対してあきれ気味に呟く。
「…まさに知識欲の権化」
ぽつっと黎が言った。
「それな。ま、それだから人間は今の今まで繁栄してこれてるんだろうよ…」
師郎はどこを見るともなく宙を見上げた。