おそろしいくらい青い空が広がる。なかにはなにもない。鳥も飛行機もなにも。
この空のこの青はいつまでも続いていくのだ。なにも変わらずなにもないままで。
地上では今今今が過ぎていくことでなくなっていく大切な気持ちが宙を舞う。それに気づかずに、否、気づかないふりをしてそのまま暮らしている愚かで哀れな人間どもがいる。心にあいた穴は誤魔化しようもなく心に引っかかる棘は二度とぬけることはないというのに。
空は静かで地上は騒がしい。
空ではなにも起きないのに地上では理不尽が人びとを支配する。
さあ、この世はなんと可笑しなことでしょう。