「実はね、めぐちゃん」
急にみゆきの声が小さくなったので、思わず唐揚げを持つ箸が止まる。
「何」「花火大会はめぐちゃんと行くって言ったら、哲くん、次の土曜日遊びに行こうって」
「次の土曜?」聞くと、うん、と頷く。「返事したの?」「えっと、、」
ごまかすように口にものを入れ続けるみゆき。ってあれ、そのたまごやき。
「みゆき食べてるのわたしのお弁当だよ」「えっ!」なんて動揺っぷり。「うわああああごめん!」かわいい。
「OKしたの?」「うん、、」
なんだって!
今度はわたしがひたすらお弁当を食べ続けなければならなくなった。「めぐちゃんそれわたしのお弁当だよ」「嘘」「わざとでしょう」「違うって」
いつもみたいに笑いあってから、少しの沈黙が流れる。
「めぐちゃんどうかしたの」どき。
言おうか言うまいか迷ってたけど。
「次の土曜までなんだ、『ときめいてZUSHIO展』」「え」「みゆき誘おうと思ってたけど、」「行く!」みゆきはぱっと前に乗り出して、きらきらの瞳。箸をつかんだままのわたしの手を両手でつつんだ。
「いいの、哲くんは」「うん!一緒にいこうね、いつもの神社のとこで待ち合わせする?」さくさくと予定を決めていくみゆき。
どうか決断のきっかけが、ZUSHIOじゃなくてわたしでありますように。