『ぼくは、今自分が幸せなら、それでいいんだよ。』
ベッドの上で、瑛瑠は望の言葉を反芻する。暖かいようでいて、空っぽなその言葉。何が、彼をそうさせているのだろうか。
あの後話したことはあまりにも特別感がなく、曖昧模糊としか覚えていない。
遠慮がちなノック音が聞こえる。
「お嬢さま?まだ起きていますでしょうか。」
図々しいチャールズが。珍しいこともあるものだ。
そんなことがよぎるも、入っていいよと応える。
すると、図々しくてすみませんねと輝かんばかりの笑顔があるものだから、背筋が凍る。
「どうしたの?」
引きつる表情筋を奮い立たせ、問う。
「ちょっとお話を。」
瑛瑠は、目を丸くした。