かんざし、という言葉に聞き覚えはない。しかし、どう考えてもそのフォルムは所見ではないから。
「かんざしって、何?」
聞くとチャールズは、いったいどこから来るのかわからない知識を披露してくれる。
「ここの、伝統的な髪飾りですよ。といっても、もう今は使っている人はほとんどいないでしょうけれど。」
瑛瑠の簡易的なイラストをまじまじと見つめ、平打ちかんざしですねなんて呟く。
「平打ちかんざしって?」
「かんざしと呼ばれるこの髪飾りには、いくつか種類がありまして。そのうちの一つで、こういった形をしたものは平打ちかんざしと呼ばれます。」
「ほかにも違ったかんざしがあるんだね。」
瑛瑠からしたら、チャールズがなぜかんざしについて知っているのかのほうが疑問であるが、そこは口を閉じておく。