「私、このかんざし?というものをどこかで見たような気がするんだけど……。」
瑛瑠は、引っ掛かりをチャールズに漏らしてみる。すると少し考えたようにするも、チャールズにも心当たりがないようで、首をかしげた。
「ジュリアなら、何かわかるかもしれません。後で聞いておきます。」
チャールズの様子からしても、そのアカネちゃんが、何かしらの形でこちら側に関与していることは間違いなさそうである。
「英人さん、アカネちゃんと会った時、珍しく歯切れが悪かったの。人間かどうかを疑っていた。でも、魔力が感じられたとは断言していなかった。」
魔力といっていいかわからない,そんなことを言っていたか。
「それでも、何かおかしいとは感じていたんですよね?」
「英人さんは、そう。」
チャールズは深くうなずく。
「十分です。」
……少々不服である。また、蚊帳の外だ。
「ねえ、アカネちゃんの正体、見当がついているんでしょう?」