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とある姉弟と紅眼の。

ピピピッ、ピピ、
いつものように鳴った目覚ましを止め、おれはまだ眠い目をこすろうとした、が。「…おはよぅ…」
「…!」
声のする方―つまりおれの左隣に顔を向けると、そこにあったのは血よりも鮮やかな鮮紅色。
「…ふふ」
「…お前…」
おれは明らかに人間のものではない紅い眼の”それ”から、思わず目をそらした。
「お前、いい加減他人の布団で寝るのやめろ」
「やだ」
「どうして…」
「すき」
相変わらずのラブコール。まじで嫌なんですけど…
少し前の雨の日、行き場をなくして路頭に迷っていた”こいつ”をおれは拾ってしまった。
ただケガをしていたから、ちょっと手当てだけするつもりだった…のだが、
「これ結ぶのてつだってー」
どうしてこうなった。
「それぐらい自分でできるだろ、てかやってほしいだけだろ」
「うん」
最初は人間だと思っていた。
でも、家に連れ込んで顔を見たら、カタチこそは人間だったものの、その鮮やかな紅色の眼、そして黒々としたコウモリのものそのものと言える羽根を見たときにやっと気づいた。
コレは人間じゃない。
もちろん当の本人は、自らを「悪魔」と称している。でも「悪魔」は人間が勝手につけた呼称だから、もっと言うなら「悪魔と呼ばれるもの」が正しいか。
この時点でちゃっちゃか追い出せばよかったのだけど、こいつを見た双子のアネキが家にいていいよと言い出したから、そのままここにいる。
ちなみに仕事で遠くに住む親はこいつを知らない。いずれ紹介しなきゃいけない時が来るんだろうけど…その時はどうしよう。どう説明すりゃいい⁇
「…ほら、これでいいだろ」
「うん、ありがと」
「朝は時間ねーからあんまり頼むなって」
「でも…」
”こいつ”はついさっきおれに結んでもらった、シャツのリボンの端っこをいじりながら呟く。
ちなみにこのシャツは双子のアネキの。あと一応言っておくが、こいつは♂だ。
性別が分からなくなるぐらいの見た目をしているのは、多分人外だから。
「おぉ2人とも、今朝も仲いいねぇ」
リビングに入ると、双子のアネキがキッチンからこちらを見て笑う。
返す言葉がないおれは、後ろから抱きついてくる”こいつ”を見やった。
ふとおれと目が合った”こいつ”はくすっと笑って呟く。
「…すき」
そういやこいつのすきって…⁈

  • 人外×人間
  • 随分前にストーリーだけ考えたお話をやっと描けたよ
  • 紅い→あかい、と読みます
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  • 企画参加ありがとうございます!
    この関係性いいなぁ……。片方が相手を巻き込んでいって「お前なぁ……」って言われるような関係性が好きなんですよ(語彙力)
    随分前に考えたとのことですが、このお話を書き始める背中を押すことができていたら嬉しいなぁと思います。
    かなり世界が広がりそうなお話だと思うので、ぜひ自分の中だけでもいいので続きを書いてほしいなぁと思います!

  • レスありがとうございます!
    こういう関係、面白いですよね… 機会があったら、彼らの物語の続きを書いていきたいと思います。