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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ①

席替え、といえば、学校のクラス内の小さいながらも不思議と存在感のあるイベントの1つだ。
嫌いな人が近くの席になったら落胆するし、仲の良い人が近くの席になったら歓喜する。
クラスの人々の様々なものが一気に浮き彫りになる、そんなイベントだ。
でも、わたしは誰が隣になろうと、誰が前になろうと後ろになろうと、あまり気にならない。クラスに仲の良い人なんていないのだから。
特別嫌いな人とかもいないから、わたしにとっては何も思うことのないイベントなのだ。
今日の6時間目は席替えで、クラス内は朝からちょっと浮かれ気味だった。
わたしはそんな人々を気にせずこの間買った本を読んだりしていたが、耳に飛び込んでくる席替えの話を聞きながら、時々こんなことを考えていた。
―”彼ら”は、自分のクラスのことを、どう見ているのだろう。
形式上の”友達”―と言うべきなのか少し怪しいけれど、この間なんとか仲良くなれた”彼ら”は、席替えで浮かれていたりするクラスを、どう思っているのだろう。
もちろん”彼ら”はみんな違う学校だし、尋ねてもきっと教えてはくれない。
―でも、”普通の人”である自分とはまた違った風に周りを見ているのだろう。

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