「ねえ、歌名。その女の子、一人だったの?」
聞いたのは望。聞かれた歌名は頷いた。
「ん、一人だったよ。」
また、一人。瑛瑠と英人が会った時も一人だった。
「何をしていたかわかるか?」
「んー……何か見てたっぽいんだけど……。」
思い出そうと眉間にしわの寄る歌名。その神社にどんな背景があるのかを調べておく必要がありそうだと瑛瑠は思った。
「ちなみに、かんざしは身につけていましたか?」
あの少女が必死になっていたかんざし。その存在を聞くと、歌名は不思議そうに首をかしげた。
「かんざしって?」
チャールズがいとも当たり前の知識のように話すから忘れてしまっていたが、これは自分たちの文化圏外のものであった。