”彼ら”って、よく分からない―わたしはそう心の中で独り言を言いながら、席替えのくじを引いた。
数分後、クラスの全員がくじを引き、中身を確認した後、座席の移動が始まった。
ちなみに、わたしの席は大体教室の真ん中らへんになった。
以前の席からそこまで離れてないから、慣れるのにあまり時間はかからなそうだ。
だが、わたしの1つ前の席になったは―
「あっ、よろしくね! 不見崎(みずさき)さん」
高い位置のツインテールがトレードマークの、クラスの人気者”笛吹 亜理那”。
わたしとは正反対の人物が、わたしの1つ前の席になった。
別に、誰が近くに来ようと気にするつもりはない、だが―
彼女は人気者で、いつも周りには仲の良い女子達が付いている。
…何か面倒なことに巻き込まれてしまいそうな気がした。
そもそも、こういう人はわたしみたいなのと関わること自体あまりないと思うから、別に良いのだけれど。
が、想定外のことが起こった。
「不見崎さんおはよ~」
席替えの翌日の朝、普段通りに学校に登校して、いつものように自席に座った。
ここまではいつもと何も変わらなかった。
だが、わたしが席についてから、少し後に登校してきた笛吹 亜理那は、今まで一度も関わったことがないはずのわたしに、声をかけてきたのだ。