わたしはわたしで、なぜか話しかけてくる笛吹さんに戸惑いながら、とりあえずは平穏に過ごしていた。
が、この平穏がずっと保たれるわけはなく。
「…あれ?」
席替えから1週間ぐらいが経った日の、休み時間のこと。
たまたまトイレから戻ってきたわたしは、自分の机の上に、何となくどこかで見たような気がするペンが置いてあるのに気付いた。
もちろんわたしのものではない。
これって、確か…、わたしはそう思いながら、ファンシーなデザインのそれを手に取った。
どっかで見たような気がするけれど、イマイチ思い出せない。
多分なんか床に落ちていたから、近くにあったわたしの机に誰かが置いたのだろう。
ずっと自分の机に置いておくわけにはいかないから、誰のかはさておき、わたしはこれを教卓の上に置こうと黒板の方へ向かおうとした、が。
「あ、それ」
教室の入り口の方から、フッと知っている声が飛んできた。