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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑤

思わず声が聞こえた方向を見ると、そこにはわたしの前の席に座っている笛吹さんの取り巻き達がいた。
「…それ亜理那のじゃん」
取り巻きの1人が、そう言ってこちらに1歩近付く。
「何やってるん不見崎(みずさき)」
「あ、まーさーかーっ」
他の人たちも不審そうにこちらへ寄ってくる。…めちゃくちゃ嫌な予感がした。
「えっ、あっ、違うよっ、これはただ…」
「…まさかそれ亜理那から奪おうとしたとか」
近寄ってきた取り巻きの1人の言葉に、わたしは動けなくなった。
「え? ちょ、やばくね?」
「うーわー、ひっでー」
「てか亜理那とちょっと仲良くなったから調子乗ってんじゃね?」
「あ、ソレ思った」
「なに? アンタ亜理那の恩恵受けたいの? アンタみたいなのには無理よ、そんなの」
「つかさー、なんでアンタみたいな奴が亜理那と―」
めくるめく非難の数々。他の女子達はただ周りから静かに傍観し、男子たちは気まずそうにこの場から離れていく。

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